■おんなのことば
この詩集に収録されている茨木のり子さんの詩は、彼女の「詩」と対峙する時の精神のエッセンスというべきものばかりだ。
「茨木のり子」という詩人を知るための入門編としてはうってつけの詩集である。(しかも安価である!)
「自分の感受性くらい」は言うに及ばず、「女の子のマーチ」や「みずうみ」という詩を読むと、彼女の人間というどうしょうもないが、それでも許さざるを得ない宿命を、優しく、厳しく包み込んでいることが、彼女の言葉を通して伝わってくる。
そして「わたしが一番きれいだったとき」が秀逸である。
一人の人間は優しく包み込むことができる彼女で有っても、許すことができないことが世の中に有ることを、彼女ならではの言葉で表現している。
そんな「おんな」の「ことば」の集まりだ。 |
■倚りかからず
人生に途方に暮れたら、開く詩集
インターネットがはびこる時代に有っても、そんなことお構いなしに山門の奥で、丁寧に詩を書く。
もちろん、丁寧に生きている。
屹然とした立ち姿を想像させる詩を書く。
茨木 のり子さんの詩は、どれを見ても「甘さ」は無い。が、「優しさ」は有る。
もう、何事にも「倚りかからず」なのだ。
そんな当たり前のことを忘れている私たちに、警鐘を鳴らすのが詩人なのかもしれない。
それも、静かにね。
誰を信じて、何を信じて生きていけばいいのか、迷った時に、この詩集を開くといい。
道は、そこに有るかもしれない。
|